三井住友カード株式会社
代表取締役社長
大西 幸彦
キャッシュレス社会へと向かう変革の中で、
チャレンジ精神を存分に発揮して、
共にフロンティアを切り拓いていきたい。
決済業界は現在、変革のまっただ中にあります。各企業が変わろうとしているだけでなく「キャッシュレス社会へ」という大きな流れの中で、業界を取り巻く環境が激変しています。
従来、現金決済が中心だった日本では、キャッシュレス比率が欧米と比べ大幅に低い。この現状を社会全体で変えていこうとしており、その先導役としてクレジットカード会社が期待されています。キャッシュレスというと新進気鋭の会社が注目されがちですが、欧米をみても信頼性が高いクレジットカード会社を中心に広がっているのが実状です。
少子高齢化の日本では、BtoCビジネスは総じて頭打ち傾向ですが、決済は数少ない成長産業。キャッシュレス比率が20%から40%に高まるだけでも市場が倍になる計算です。実際に、ここ1年で日常の買い物をキャッシュレスで支払う人が急速に増え、社会のムードも変わってきました。
成長産業ゆえに競争は厳しくなりますが、積極的にチャレンジする価値がある業界と言えるでしょう。当社は長年の歴史で培ったブランド力と、加盟店等との広範なネットワークを備え、成長市場の中で非常に優位なポジションにあると考えています。
キャッシュレス社会の実現をリードする存在を目指しています。具体的に取り組んでいるのは大きく分けて以下の2点です。第一に、消費者の側に立ち、クレジットカード、デビットカード、交通系ICカードなどを複数持つ消費者が、ストレスなく活用できるよう支援すること。例えばスマートフォンで複数のカードを管理できるような機能の提供を考えています。
第二に小売店等の事業者側の立場で、多数のキャッシュレス手段に一括して対応できるよう、アクワイアリング(加盟店契約業務)シェア1位の当社ならではの、スケールメリットを生かした決済管理サービスを提供していきたい。従来現金でのやりとりだったものを、私たちの決済システム上で包括的にカバーするといった、プラットフォーム化を目指す戦略です。
我々のビジネスは「使う人に喜んでもらうために企業努力をする」という正攻法で勝負するしかありません。消費者にとっても事業者にとっても日々の決済をストレスのない安全な仕組みにしていくというミッションは、社会的意義が非常に大きいと感じています。
キャッシュレス社会の実現に向けては今後の5年が非常に重要です。日本社会は一度動き出すと早いので、キャッシュレス比率はその間に劇的に高まり市場が大きく膨らむでしょう。その過程においては、個社の経済圏を拡大させることよりも、決済インフラ事業者としてキャッシュレス社会の全体最適を実現できる企業こそが成長すると考えています。
今は「クレジットカード会社とは何か」が根本的に変化している時代です。求められる人材や必要なスキルも劇的に変わっており、従来の「金融セクター」という範疇の組織運営から脱する必要があります。将来的にはIT、ネット企業のような組織になるかもしれません。事業構造が変わり成長余地が広がる中、若手が活躍する余地は非常に大きいと言えます。
SMBCグループにおける「決済のプロフェッショナル集団」を目指す当社では、現実的な視点を持ちつつ未来を切り開いていく人材を求めています。競合相手やパートナー企業も国内外の多種多様な企業に広がっており、これまで以上に人材面での多様性も必要になるでしょう。どの職種にせよ、英語力は今後ますます重要になってくると思うので、学生のうちにぜひ身につけておいていただきたいですね。
キャッシュレス社会の実現に向け、若いうちから会社をリードするような存在になってほしい。当社はメガバンク系のクレジットカード会社ということで、ともすると「安定志向」「保守的」というイメージがありましたが、今はグループ内でも「どんどん暴れてほしい」という革命児的な役割を期待されています。
SMBCグループの安定的な基盤を活用しつつ、決済の分野においては「自分たちがグループをひっぱっていく」という意気込みで積極的に新しいことに取り組んでほしいと思っています。
決済は日々の生活に大きく関わるインフラですが、そのような社会基盤が変革期を迎えるというようなことはそうそうありません。成長のフロンティアが広がる世界で、チャレンジ精神旺盛な方をお待ちしています。
(取材:NIKKEI STYLE U22 編集チーム)