POINT
テクノロジーの進化は新たなキャッシュレスシーンを
築く大きなチャンスになる。
新しいキャッシュレス決済ツールには、スマートフォン(スマホ)決済やQRコード決済、生体認証決済がある。スマホ決済は支払いをクレジットカードに紐付けて行うタイプが一般的で、クレジットカード会社と「共存共栄」できる仕組みと言える。一方、QRコード決済は銀行口座から直接引き落とすタイプも多く、既存のクレジットカード・電子マネーとどのような棲み分けがなされるのか注目されている。顔認証決済や静脈認証決済に代表される生体認証決済はまだその多くが研究開発段階だが、クレジットカードなどに紐付けた決済モデルをベースとしている。実用化が進めば手ぶらで支払いが出来るようになり、スポーツやレジャーなど従来キャッシュレス決済が導入しづらかった分野の開拓が見込まれる。将来的には生体認証決済を通じ、例えば、顔の表情・健康状態と購買傾向の関係を分析し、小売店のマーケティングに活用してもらうなど、事業者に付加価値を提供するとともに、利用者がパーソナライズされたサービスを享受できる環境構築の可能性を秘めている。

更には、IoTが進んであらゆる〝モノ〟がインターネットに接続できるようになれば、例えば、「食材が不足したことを自動で感知・注文する冷蔵庫が生まれ、支払は予め紐づけされたクレジットカードなどで行われる」というように、既存の「プラスチックカード」という枠組みに縛られず、あらゆる〝モノ〟が決済ツールとなり得る可能性があり、決済事業者にとっては大きなチャンスなるはずだ。
出典:【上図】『FinTech革命と銀行への影響』(2016/5/10みずほ総合研究所作成)、【下図】『Fin Tech市場は50億、6年で800億に成長─矢野経済予測』
(取材:NIKKEI STYLE U22 編集チーム)